リスティング広告の始め方と活用方法について
自社EC
本記事では自社ECサイト拡大の要である「リスティング広告」について解説していきます。
主な露出先はGoogleとYahoo!になりますが、今回はGoogleを参考に、リスティング広告の特徴や効果測定の方法、その他注意点についてみていきます。国内であれば恐らく9割方の方が検索サイトとしてGoogleかYahoo!を使うことになるかと思いますので、上記2媒体を抑えておけば問題ないかと思います。
リスティング広告とは
では、最初にリスティング広告とはどういった広告なのか、確認していきます。
リスティング広告とは、検索エンジンの検索結果にユーザーが検索したキーワードに連動して掲載される広告のことで、「検索連動型広告」と呼ばれます。
例えば、漬け物屋さんが自社の商品を露出していきたいときに、自社の商品を「漬け物」「漬け物 ギフト」などの関連キーワードで広告枠を入札することで、露出を図っていくことができます。
主な特徴としては以下が挙げられます。
- 月額1,000円程度でも出稿可能
- 広告を表示するユーザーに、どのキーワードで露出するか設定ができる
- 1クリックあたりの料金については自由に設定可能
- 月々の予算、1日当たりの予算を決めることができる
ECサイトで活用できるリスティング広告の種類
リスティング広告で活用できる広告枠については、
- テキスト広告
- ショッピング広告
の2種類があります。それぞれについて説明していきましょう。
テキスト広告
テキスト広告とは、GoogleやYahoo!で検索したときに「スポンサー」「PR」などと表示される広告枠のことです。
GoogleやYahoo!で検索すると、いつも表示されているのではないでしょうか?
一般的に「リスティング広告」という場合は、こちらを指します。
こちらの掲載箇所は、以下となっております。
- ページ最上部
- ページ最下部
また、掲載内容は以下の項目となっており、簡単に出稿可能です。
- 見出し
- 説明文
- リンク先URL
ショッピング広告
ショッピング広告とは、「検索結果のショッピング枠に表示される画像広告」のことです。商品系のキーワードで検索すると表示されます。
こちらの掲載箇所は以下です。
- ページ最上部
- ページ右部分
また、掲載内容は以下の項目です。
- 商品名
- 価格
- サイト名
リスティング広告を出稿するためには、フィードを作成・アップロードする必要があります。
以下の項目の設定が必要です。
- 商品ID
- 商品名
- 説明文
- リンク先URL
- 商品画像
- 価格
- 在庫数
通常ディスプレイ広告に該当しますが、ECサイトの場合、ユーザーは商品内容を確認したうえで流入するため、事実上ECサイトにとってのリスティング広告といっても問題ないでしょう。事実、ショッピング広告では、商品の内容を確認してからユーザーがクリックするため、CVRが高いことが多いです。
ECサイトにとってのリスティング広告の位置づけ
では次に、リスティング広告をその他の広告と比較してみましょう。
通常、広告を出稿する際の目的ごとに分類すると以下の通りです。
- 新規顧客の獲得(顕在層):リスティング広告、SNS広告、アフィリエイト広告
- リピート率のアップ:リターゲティング広告
- 潜在層へのリーチ拡大:SNS広告、ディスプレイ広告
リスティング広告は検索連動型広告になりますので、基本的には「新規顧客の獲得」を一番の目標として運用するケースが多いかと思います。リスティング広告以外には、「新規顧客の獲得」のための広告(手段)としては、アフィリエイト広告、SNS広告があります。
「リピート率のアップ」という目的においては、リターゲティング広告が代表的なものになります。
一度該当ページを踏んだユーザーへ繰り返し露出するディスプレイ型広告となり、GoogleやYahoo!が主な露出先になります。
ECサイトにおいてリスティング広告運用時に確認すべき指標
では次に、リスティング広告の効果測定で見るべき指標について解説していきます。
よく使われる、見るべき指標は以下となります。
- CTR(click through rate):クリック数÷表示回数
- CPC(cost per click):広告費÷クリック数
- CVR(conversion rate):CV÷クリック数
- CPA(cost per action):広告費÷CV
- LTV(Life time value):平均顧客購買単価×平均購買頻度×平均継続期間×利益率
詳細を説明していきましょう。
CTR:クリック数÷表示回数
1クリック獲得するまでに、何回広告が表示されたかという割合を表します。
例えば広告文テストをおこなったとして、CTRが高いほうが効率よく、ユーザーをランディングページへ誘導できているなどの指標となります。
CPC:広告費÷クリック数
1クリックあたりの広告費となります。
リスティング広告の場合、単純に入札価格を上げれば、上位掲載されるわけではありません。
品質スコアなどの兼ね合いから平均CPCが決まります。
同じ広告費をかけても、CPCが安いほうが、多くユーザーをページ誘導できます。
CPCが高いと商品の購買につながっていたとしても、費用対効果が合わないことから、特に注意して確認すべき指標になります。
CVR:購買数÷クリック数
何回クリックされて、1購買につながっているか、という割合を表します。
CVRは実際の購入や利用ユーザーの割合となるため、広告の獲得効率に最も関係する指標となります。
CPA:広告費÷購買数
1CV獲得するのに、かかった広告費を指します。
CPAを安く抑えられれば、広告費の獲得効率をあげることができます。
リスティング広告は多くの場合、目標CV数と目標CPAを元に広告を運用していきます。
どの指標も重要ですが、最も重要なのはCPAです。極論CPAさえ、想定しているコストを下回っていれば問題ありません。自社のCPAの考え方については後述いたします。
LTV:平均顧客購買単価×平均購買頻度×平均継続期間×利益率
※複数の定義が存在するため、自社に適した定義をしてください
1顧客から得られる顧客生涯価値を指します。
LTVが1顧客から得られる利益の最大値となりますので、LTV以上の広告費をかけてはいけません。逆にLTV以下であれば、1回の広告出稿で赤字になることが想定される場合でも、設計上は問題ありません。
ECサイトにおけるリスティング広告のCPA設定
CPAは上述の通り、1購買あたりにかかった広告費用です。1購買あたりに自社商品で見込める利益以上のコストをかけてしまったら、どんなに売れたとしても赤字になってしまうため、最も重要な指標です。では、CPAはどの程度に設定するのが最も効率がよいでしょうか?
それは、出稿広告あたりの「(LTV-CPA)×購買数」が最大化できる数字です。
たとえば、以下の場合で計算してみましょう。
- 設定①:LTV:1,000円、CPA:200円、購買数10
- 設定②:LTV:1,000円、CPA:500円、購買数20
合計で得られる想定利益を計算すると、以下になります。
- 設定①:(1,000-200)×10=8,000円
- 設定②:(1,000-500)×20=10,000円
すると、どうでしょう?一見CPAが高い設定②のほうが、利益を最大化できることがわかります。
基本的に広告費をかけたほうが獲得購買数は増えるので、どこまでのCPA設定がもっとも利益を最大化できるか、考えて設定しましょう。
ECサイトでリスティング広告を成功させるポイント
リスティング広告は世の中の広告で最も効果が出やすい広告の一つです。理由としては、商品キーワードを検索する人は購買を検討している段階にあるため、購買につながりやすいということがあります。自分の購買行動を思い返せば、ご納得いただけるでしょうか?
これから自社ECサイトの売上を上げていこうという方は、まずリスティング広告を徹底的に研究しましょう。
キーワード管理
リスティング広告はどのキーワードに対して、出稿するかの選定が全てと言っても過言ではありません。まずキーワードの考え方から説明します。
キーワードには、「指名キーワード」、「一般キーワード」の2つがあります。
- 指名キーワード:特定の固有名詞を含むキーワード(例、アディダス、NIKE、など)
- 一般キーワード:商品に関連するキーワード(例、靴、夏服、など)
それぞれ運用の仕方が異なります。理由としては、指名キーワードはCVRが非常に高くなる傾向がある(例えば、「エアジョーダン」などと検索する場合は、すでに購買ブランド選定が進んでおり、かなり購買意欲が高まってそうですよね?)一方、一般キーワードはまだこれから商品選定を行っていく段階で無駄なクリックも多いです。
以上から、キーワード管理は以下の通りに実施するのが最も効率がよいでしょう。
- 指名キーワード:とにかく表示回数を増やしにいけるよう関連するキーワードを設定する
- 一般キーワード:購買に近いユーザーへの表示回数を最大化できるよう、一般キーワードのなかでも、細かい調整をいれ、無駄なキーワードを排除する作業を行う
広告文の最適化
広告文は商品の購買率に大きく関わってきます。そこで、「キーワード挿入機能」がおすすめです。キーワード挿入機能とは、「ユーザーの検索キーワードを広告文に自動挿入する機能」のことです。ユーザーが検索したキーワードが自動で広告文に表示されます。ユーザーは検索キーワードが広告文に入っている方が、「知りたい情報」があると思うため、クリック率向上が見込めます。
上限CPAベースの入札金額設定
「ECサイトにおけるリスティング広告のCPA設定」の章でご説明した上限CPAに合わせてキーワードの入札金額を設定しましょう。CPAが利益を超えてしまっては元も子もないからです。繰り返しになりますが、徹底的にコストに注意して管理しましょう。
まとめ
今回はECサイトの売上アップにおけるリスティング広告について詳しく説明させていただきました。
実際にやってみると難しいものです。この記事が少しでもお役に立てていたら幸いです。